「君の名は。」
アニメ映画「君の名は。」(新海誠監督)の爆発的なヒットが続いている。興行収入は130億円を突破し、宮崎駿監督が3年前に手がけた「風立ちぬ」を抜き、歴代の邦画で6位につけた。スタジオジブリの冠も、テレビ局の強力なバックアップもない新鋭監督の作品がなぜここまで支持されるのか。
映画は、山奥の田舎町に住む女子高校生と東京都心で暮らす男子高校生の心が入れ替わる物語で、すれ違う恋の切なさなどを描く。
「アナと雪の女王」の37日間、「風立ちぬ」の54日間。それを上回る公開28日間というスピードで興行収入100億円を超え、日本アニメでは宮崎監督作以外で初の大台を突破した。
「10~20代の若者を中心に異常なくらい観客数が落ちず、高止まりが続いている」と映画館「新宿バルト9」の島田貴行支配人。興行通信社の調べでは、通常は減っていく客足が公開直後の土日の9億円から2週目には11億円へと跳ね上がり、週末観客動員数では6週連続で首位を記録している。新宿バルト9では公開1カ月を過ぎても1日10回ほど上映し、平日も含めてほぼ満席続き。社会現象となり、年齢層も広がっているという。観客からは「何度も観(み)ている友達にネタをばらされそうになって急いできた」(17歳女性)、「物語とか曲とかいくつもポイントがあって、SNSで共有したくなる気持ちがわかった」(19歳男性)といった声が聞かれた。
朝日新聞が米クリムゾン・ヘキサゴン社のソーシャルメディア分析システム「ForSight」を使って公開から1カ月間の映画のタイトルを含むツイート数を調べたところ、「君の名は。」の公開初日は「シン・ゴジラ」の初日の約3倍の多さだった。「アナと雪の女王」「ズートピア」といった話題作と比べても総じて突出しており、公開後も何度も盛り上がるという特徴がみられた。
東宝の弭間(はずま)友子宣伝プロデューサーは「もちろんポテンシャルはあるけれど、こんなにヒットするなんて宝くじが当たったみたい」と驚きを隠さない。新海監督の前作「言の葉の庭」(2013年)は1・5億円。コアなファンはいるものの監督の一般的な知名度は低く、「君の名は。」の当初の目標は20億円だった。
映画の製作委員会に、宣伝する…