映画「君の名は。」にあやかって「黄身の名は?」と名付けた烏骨鶏(うこっけい)卵6個入りの福袋=阪神百貨店提供
全国の多くの百貨店や商業施設で2日、初売りがあった。消費者の固い財布のひもをなんとか緩めようと、関西の百貨店などでは様々な「福袋」を用意してお得感をアピールした。
大丸梅田店(大阪市北区)では、午前9時半のオープン前に約3500人の行列ができたため、予定より15分早く開店した。シャツや紳士靴などの福袋を9個買った堺市の会社員の男性(43)は「景気がよくないから普段お金を使わないようにして、安いときにまとめ買いした」と話した。
定番の婦人服などに加え人気を集めたのが体験型の福袋だ。高級ホテルでのランチや日帰り温泉のペアチケットが入って、5千~2万円程度。担当者は「気軽にちょっとしたぜいたくをできるのが人気の理由です」と話す。
正月ならではの豪華なものもあった。高島屋大阪店(大阪市中央区)では、最高額の商品として「金の七福神7体セット」(税込み7777万円7777円)を用意。これでも昨年の初売りに出した純金製の茶道具(約2億円)と比べると控えめな値段だという。
福袋の売り方にも変化が起きている。西日本の百貨店で最大の売り上げを誇る阪急うめだ本店(大阪市北区)は、婦人服とほとんどの化粧品の福袋を店頭で販売しなかった。ネット上で予約を事前に受け付け、1月2日に配送することで、地方の顧客も買いやすくなった。混雑を緩和する狙いもあり、開店前に並んだのは昨年の約8千人から約7千人に減った。
話題性を重視したものも目立った。阪神百貨店梅田本店(大阪市北区)では、ポケモンGOにちなんだ漬けものセット「つけもんゴー福袋」(税込み1080円)と、映画「君の名は。」にあやかった「黄身の名は?」と名付けた烏骨鶏(うこっけい)卵6個入りの福袋(同1944円)があった。ともに2日で完売したという。
大丸京都店(京都市下京区)は、17年に大丸が創業300年を迎えることを記念し、ロゴマークが付いた記念タクシーを抽選で利用できるようにした。3日に税込み5400円以上を買った京都府か滋賀県在住の人が対象だ。
阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングが今年中に受け継ぐ予定のそごう神戸店(神戸市中央区)は、1日に初売りがあった。セブン&アイ・ホールディングス傘下としては最後の初売りになる可能性が高く、約3千人がならんだ。17年の神戸開港150年にちなんで洋菓子や紅茶などを詰め合わせた150個限定の福袋(税込み1500円)を販売したところ、午前中に売り切れた。
広島市の百貨店・福屋では、プロ野球・広島カープの元選手で昨年引退した広瀬純さんの解説を聞きながら、マツダスタジアムでカープ戦を見られる福袋(税込み10万円、限定1組8人まで)を4日まで抽選で販売する。(中村光)