国内の二輪市場は縮小している
ホンダとヤマハ発動機は5日、50cc以下の「原付きバイク」の生産や開発で提携すると発表した。原付きバイクは長年、買い物や通勤・通学の「足」として親しまれてきたが、最近は販売台数が激減。国内トップを競ってきたライバルが手を組む必要に迫られた。
ヤマハ発は台湾で年5万台を生産し、日本に輸出してきた。今回の提携で、ヤマハ発は国内販売の大半を占める「ジョグ」「ビーノ」の生産をやめ、2018年中にホンダの熊本製作所に委託する。デザインは引き続き担うが、ヤマハ発は事実上、原付きバイクの生産から撤退する。
都内で記者会見したヤマハ発の渡部克明・MC事業本部長は「環境規制に対応するのが難しく、このままでは事業継続が難しかった」と語った。今後は125ccや中大型クラスに集中するという。
ホンダにとっては、国内で唯一の二輪車工場である熊本製作所の稼働率を上げられるメリットがある。両社は業務用バイクを共同で開発し、ホンダからヤマハ発に供給する。電動バイクの共同研究も進める。
二輪車市場では、ホンダは国内だけでなく世界全体でもトップメーカー。ヤマハ発は国内2位だ。1980年代には「HY戦争」と呼ばれるしれつなシェア争いを繰り広げ、ヤマハ発はその影響で経営危機に直面した。だが、80年に約237万台だった国内販売台数は、15年に1割強の約37万台まで減った。原付きバイクはその半数を占めるが、80年の約1割に落ち込む。
価格が15万~20万円が主流の原付きバイクは、メーカーからすると1台あたりの利益が少ない。国内外で排出ガスの規制や安全基準が厳しくなって、その対策費もかさみ、単独で事業として維持するのは難しくなっている。