打点の高いヘディングでゴールを決めるレアル・マドリードのセルヒオラモス(中央)=ロイター
サッカーの欧州チャンピオンズリーグは7日、決勝トーナメント1回戦第2戦の2試合が行われ、連覇を狙うレアル・マドリード(スペイン)は敵地でナポリ(イタリア)を3―1で破り、2試合合計6―2で7季連続で準々決勝に進んだ。バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)は敵地でアーセナル(イングランド)に5―1で圧勝し、2試合合計10―2の大差で6季連続の8強入りを果たした。
アーセナルが本拠で大敗を喫する決戦前、競技場周辺はすでに不穏な空気が漂っていた。
「契約更新に反対」「どんなに良いときにも終わりは来る。さようならアーセン」。今季限りで契約が切れるベンゲル監督に対し、本来は支えるはずのサポーターが反旗を翻した。
1―5で大敗した第1戦から巻き返すには最低4得点が必要だった。前半20分、右サイドを切り裂いたウォルコットの先制点が決まる。わずかな希望の光。観客席に熱気が宿った。
しかし、後半10分、DFコシェルニーがレバンドフスキの突破を後ろから倒してPKを献上。警告を受けた後に抗議して退場処分を言い渡された。「審判に試合を壊された」。ベンゲル監督が敗因にあげた場面が、確かに分岐点だった。
守備の柱を失い、統制を失ったDFラインがバイエルンの速攻を浴び、後半だけで5失点。第1戦の悪夢の再現だ。試合が終了し、7季連続でベスト16止まりが確定した時には、すでに観客の多くは家路についていた。1996年秋、Jリーグ名古屋からサッカーの母国に渡り、自らの名前「アーセン(ARSENE)」とよく似たつづりのクラブを欧州CLの常連にした知将の去就やいかに。
仮に契約を更新しても、現在、イングランド1部リーグで5位。4枠(プレーオフ枠含む)ある来季の欧州CL出場枠には、届いていない。(ロンドン=稲垣康介)