米財務省は14日、半年に1度議会に提出する外国為替報告書を公表し、日本、中国、韓国、台湾、ドイツ、スイスの6カ国・地域を「監視リスト」に指定した。スイスは初めての指定となる。日本は今年4月に続き2度目の指定で、円高を抑えるため為替介入を辞さない姿勢を示していた日本を牽制(けんせい)した。
報告書は、日本の今年6月までの1年間の経常黒字が国内総生産(GDP)比で3・7%と、2011年以来で最大になったと言及。日本は過去5年近く為替介入をしていないとしながらも、今年初めに円高が進んだ際、「日本政府から『値動きが荒い』など継続的な発言があった」と指摘した。「ドル円の為替市場は円滑に機能している」としたうえで、競争目的で通貨切り下げをしないよう改めてクギを刺した。
米国は環太平洋経済連携協定(TPP)の合意にあわせ、①対米貿易黒字が200億ドル(約2兆円)以上②経常黒字がGDPの3%以上③為替介入の規模がGDPの2%以上――の三つを満たした国に対抗措置を行う制度を始めた。日本などはこのうち二つを満たすとして、監視リストに指定された。(ワシントン=五十嵐大介)