イラン当局が拘束していた米国人4人を今年1月に解放した際、米政府が4億ドル(約400億円)相当の現金をイラン側に空輸した問題で、米国務省は18日、現金空輸と解放について関連性があると初めて認めた。共和党側は「身代金だった」とオバマ政権への批判を強めている。
米、イランに現金400億円空輸 人質解放と同時期
同省のカービー報道官は記者会見で「(現金を)米国市民が解放されるまでの最大の有効手段として保持しようとした」と説明。その上で「我々にはイランが(解放を)取り消す懸念があった。米国人の救出が優先事項だった」と述べた。米国人の解放が確認された後、同じ日に現金が支払われたという。
米政府はこれまで、人質解放と現金空輸は「別々のこと」と説明してきた。
4億ドルは、イラン政府が1979年に武器調達費として米側に支払ったが、イラン革命が起きたことから納品されなかった。このため、米政府は利子を含めた和解金を支払うことでイラン側と合意。今回の現金輸送はその一環としており、カービー氏は「(現金は元々)彼らのカネだ。身代金ではない」と強調した。
一方、大統領選の共和党候補トランプ氏は18日の演説で「オバマ大統領はうそをついた。身代金は払わないと言っていたのに、払った。国外に行く米国市民が誘拐される危険を高めた」と語った。(ワシントン=杉山正)