青森県弘前市の弘南バス労働組合(組合員345人、棟方一晴委員長)は、書記長を務めていた30代の男性が組合の資金約5千万円を着服したとして、近く男性を刑事告訴する方針を決めた。男性は組合側の事情聴取に着服を認め、先月末で書記長を辞めて退社したという。
棟方委員長によると、男性は2014年11月、専従の書記長に就任。組合員がストライキ時の給与カットなどに備えて積み立てている「闘争資金」を管理していた。昨年9月、棟方委員長が闘争資金を1億円と2千万円の定期預金に分けて管理するよう指示したが、男性は2千万円を普通預金にし、その後数十万円ずつ全額引き出した。さらに1億円の定期預金からも今年3月と7月に計3千万円を着服したという。
男性は定期預金の証書を偽造して組合の監査をくぐり抜けていたが、先月の定期預金の更新手続きで不正が発覚。男性は組合側の事情聴取に一連の着服を認め、「親戚に貸した。ご迷惑をおかけしました。働いて返済します」などと話しているという。
組合は12日に組合員に対する説明会を開き、刑事告訴する方針を決めた。棟方委員長は「委員長として責任を感じている。準備ができ次第告訴し、警察に捜査してもらう」と話している。