ANAホールディングス(HD)と日本航空が、それぞれ系列化している地方の航空会社の「協業」を検討する。国土交通省から共同運航や経営統合などを提案されたことを受け、離島など採算がとりにくい空路の維持に向けて協力の可能性を探る。
検討対象になりそうなのは、ANAHD系のANAウイングス(東京都)やオリエンタルエアブリッジ(長崎県)、日航系の日本エアコミューター(鹿児島県)や北海道エアシステム(札幌市)、日航と共同運航する独立系の天草エアライン(熊本県)など。
関係者によると、国交省が14日、ANAHDと日航に対し、系列の航空会社での「協業」を提案。経営基盤の強化が狙いで、共同運航や、機材や燃料の共同調達などに加え、持ち株会社化による経営統合の提案もあったという。地方路線が中心の航空会社の多くは、国が補助金を出したり、地元自治体が出資したりして経営を支えている。不採算路線の維持が課題になっている。協業により、経費の抑制や利用客の増加が期待できる。
ANAHDは今月末から羽田発着の米ニューヨーク便と米シカゴ便を新設し、日航も来年4月から羽田―米ニューヨーク便を運航する予定。稼げる路線を拡充するなかで、地方の空路を維持する姿勢を打ち出す狙いもありそうだ。
ただ、経営統合には、出資して大株主になっている自治体の了承が不可欠。共同運航には、航空券の予約システムの一本化に向けた協議が必要で、実現へのハードルは少なくない。