ロシア極東発展省は25日、日本と協議中のロシア極東での経済協力について18項目の優先案件があり、実現すれば総額1兆ルーブル(約1・7兆円)以上になるとの見通しを発表した。12月に山口で予定している日ロ首脳会談までに具体化を目指す考えだ。菅義偉官房長官は26日の記者会見で「18項目の提案は事実」と認めたが、具体的な金額などには言及しなかった。
18項目はエネルギーや運輸、医療などの分野。炭鉱や石炭積み出し港、木材加工工場、国際空港の改修、野菜工場の拡張など、すでに日本企業が検討を始めた案件が含まれており、国際協力銀行も日本からの投資を後押しするという。
このほか、宇宙産業や北極海航路の発展、サハリンと北海道を結ぶ自動車や鉄道の橋、ロシアから電力を輸出する送電網やガスパイプラインなどの巨大プロジェクトの構想もある。
極東発展省のオシポフ第1次官は「12月に向け、具体的な成果を出すつもりだ」と強調した。
日本側も、世耕弘成・ロシア経済分野協力相が11月に訪ロを計画するなど準備を急いでいる。ただ、実現が難しいとみられる事業も多く、どこまで構想を具体化できるかは不透明だ。(ウラジオストク=中川仁樹)