行方不明になっている男児の捜索を再開する捜査員たち=5日午前、奈良県御所市、加藤諒撮影
堺市北区に住民票のある梶本樹李(たつき)ちゃん(4)が行方不明になっている事件で、鉄筋工で父親の卓(すぐる)容疑者(35)=児童手当などの詐欺容疑で逮捕=が、樹李ちゃんの遺体を遺棄したと話した現場付近で今春まで働いていたことが、大阪府警の調べでわかった。現場周辺に土地勘のある可能性が高いとみて調べている。
府警によると、卓容疑者は樹李ちゃんが昨年12月中旬、階段から落ちて死亡したと説明。遺体を転居先のマンションに隠していたが、今年5月下旬、「においが強くなったので、(大阪と奈良の府県境の)水越峠(みずこしとうげ)に捨てた」と供述した。
現場は大阪府千早赤阪(ちはやあかさか)村と奈良県御所(ごせ)市の境から奈良県側(東側)に約200メートルの山中。地元の人によると、ふだんは、ほとんど人が来ない場所だという。
卓容疑者が今春まで約6年間働いていた堺市内の土木会社によると、卓容疑者はここ2年ほどは月2、3回のペースで、千早赤阪村の道路拡張工事現場で働いていたという。府警は同社から、卓容疑者が行った現場の記録が残されている、昨春から今年5月までの会社の業務日報の提出を受け、詳細を確認している。
卓容疑者は府警の調べに、遺棄したとする場所について「たまたま通りかかって捨てやすそうだった」と供述。水越峠という現場の具体的な地名を示し、現地では捜査員を案内して「ここに捨てました」と指をさしたという。府警は、卓容疑者が現場の状況を知った上で遺棄場所に選んだ可能性もあるとみている。
府警は5日、新たに11人の機動隊員を投入。46人態勢で午前9時20分ごろから範囲を広げて現場の捜索を始めた。崖の土砂をふるいにかけ、遺体につながるものがないか確認している。卓容疑者は、樹李ちゃんの遺体を「毛布かブランケット、布団に包んで捨てた」と話しており、府警は、4日に現場から見つかった布団に樹李ちゃんの遺留物がないか鑑定を進めている。