中国医薬集団総公司(国薬)傘下の北京生物製品研究所の包装工程の現場では、作業員が新型コロナウイルス不活化ワクチンの入ったパッケージ24箱を白い梱包用バンドで梱包し、後ろにあるカートに注意深く積み上げていた。これは中国初の新型コロナウイルス不活化ワクチンが生産ラインを離れる前の最後の工程だ。現在、同研究所のハイレベルバイオセーフティ生産現場は、同ワクチンの年間生産能力が10億回分に達成可能と予測されている。「工人日報」が伝えた。
分包された新型コロナワクチンをパッケージの箱に入れる作業員
2020年12月30日、国家薬品監督管理局は法律に基づいて国薬集団の中国生物北京生物製品研究所の新型コロナウイルス不活化ワクチンの発売を条件付きで承認した。このビッグニュースが報じられてから、わずか3日後のことだった。春節(旧正月、今年は2月12日)までに第一弾としてのべ5千万人の接種が完了することを目指し、同研究所の生産ラインでは作業員らが数ヶ月にわたり奮闘してきた。みんなの目標はただ一つ、合格した新型コロナワクチンをできるだけ早く市場に投入することだ。
1月3日、国薬北京生物製品研究所。
同研究所のハイレベルバイオセーフティ生産現場は24時間体制で稼働し、数十人の作業員が連日、三交代制を取り、陰圧環境の中で「ウイルスと一緒に」、少しの手抜かりもなくウイルスの培養、不活化、濃縮、精製などワクチン生産に向かって重要なステップを取っていた。
「臨床試験(治験)第3相(P3)の生産現場を構築する主な狙いはバイオセーフティの確保だ」。同研究所の新型コロナウイルス不活化ワクチン生産責任者の張晋氏は取材に対してこのように述べた上で、「P3実験室のバイオセーフティレベルは非常に高く、3段階の防護措置が取られている。すべての設備の密閉性が厳格に保証されただけでなく、現場の環境も陰圧50-60パスカルに達するようにしている」と説明した。
新型コロナウイルスワクチンの生産技術について説明する張晋氏。
張氏は、「ウイルス接種隔離装置では中に腕を伸ばして操作する必要があり、そのため生産に携わる人は全員、身長178センチメートル以上になっている。これ以下だと、腕が届かない可能性がある。陰圧環境下で分厚いフェイスガードとマスクをしたまま作業するのは本当に大変だ。当研究所では20歳から35歳までの健康で、若く、体が丈夫な男性を選ぶようにしている。1回あたりの作業時間は4時間までで、これを超えると低酸素状態になるからだ」と説明した。
1月3日、国薬北京生物製品研究所の新型コロナウイルスワクチン製品の分包・包装現場で、製品の梱包状態をチェックする作業員。
1月3日、国薬北京生物製品研究所の新型コロナウイルス不活化ワクチン製品の分包・包装現場で、ワクチンのロットリリース試験とサンプル試験を行う品質検査担当者。
ワクチン生産ラインが稼働し始めてから、北京市薬品監督管理局は中堅の検査担当者を企業に駐在させて、新型コロナウイルスワクチン生産の全プロセスの監督に当たらせた。品質検査に携わった担当者は、「生産段階だけでなく、ワクチンの保管状況、輸送時の温度、川下にあたる接種場所でのワクチンの品質を監督管理して、その品質をできる限り保証する」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年1月6日