インタビューに応じる稲田朋美防衛相=遠藤啓生撮影
政府は今月、安全保障関連法に基づき、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)への派遣部隊に新任務「駆けつけ警護」を付与した。国内で賛否が割れる中、海外での自衛隊の活動内容を大きく広げた。政策決定に携わった稲田朋美防衛相に新任務付与の狙いなどを聞いた。
稲田防衛相「自衛隊の歴史に新たな一歩」 駆けつけ警護
――新任務付与の意味は。自衛隊員のリスクは増えませんか。
平和安全法制(安保法制)のもとでの新たな一歩だ。自衛隊が参加するPKOで、必要な訓練をし、助けられる人は助けるということになる。
自衛隊がPKOに参加するようになって四半世紀になるが、過去には自衛隊の活動場所近くで邦人が襲われることがあった。2002年に東ティモールで、暴動に巻き込まれた邦人らを車で宿営地に移送したケースなどだ。だが当時は法的な根拠が明確ではなく、訓練もしていなかった。危険にさらされる「しわ寄せ」は、現場の自衛隊員に押しつけられる。
付与を前に様々なケースを想定して訓練した。法的な根拠ができたことによって、現場の部隊長は自信を持って対応できるようになった。むしろリスク低減に資すると言える。
――政府は新任務付与に関する基本的な考え方をまとめ、「他国の軍人を駆けつけ警護することは想定されない」と明記しました。他国から要請があっても断れますか。
外国の軍隊は自分の身を自分で守る能力がある。それでも対応が難しい場合は、南スーダン政府の治安部隊や国連PKOの歩兵部隊が守る。自衛隊は施設部隊なので、他国軍を警護することは想定されない。対応できないものに対応して、自衛隊員を危険にさらすべきではない。その点は、現地の部隊長がしっかり判断できる。