ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上でつきまとう行為を新たに禁じる改正ストーカー規制法が6日、成立した。SNSでの行為もからんだ深刻な被害が後を絶たないことを受け、罰則の強化や禁止命令の手続きの迅速化なども盛り込まれた。
改正法では、相手から拒まれているのにSNSやブログにメッセージを送ったり書き込んだりし続ける行為が、規制対象に追加された。東京都小金井市で今年5月、音楽活動をしている女子大学生が男に刃物で襲われた事件で、大学生はツイッターなどへの男の執拗(しつよう)な書き込みについて警視庁に相談していた。現行法ではメッセージの内容に違法性がなければ取り締まれないことなどを受けて検討された内容だ。
規制対象の行為をした加害者に各地の公安委員会が出す禁止命令については、従来は警察の警告を経て出していたが、警察による警告がなくても出せるようになるほか、警察本部長や署長への委任も認めるなど、状況に応じて迅速、効果的に対応できるようにした。
禁止命令に違反して、規制対象行為を繰り返す「ストーカー行為」をした場合、従来の倍の2年以下の懲役か200万円以下の罰金とするなど、刑法の強要罪や脅迫罪と比べ軽かった罰則を引き上げた。また、ストーカー行為は、起訴するには被害者の告訴が必要な親告罪だったが、この規定をなくした。(伊藤和也)
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■ストーカー規制法の改正の内容
【規制行為】
・SNSやブログにメッセージを送ったり書き込んだりし続ける行為、住居付近などをみだりにうろつく行為を規制対象に追加
【罰則】
・ストーカー行為は現行の2倍の懲役1年以下か100万円以下の罰金に、禁止命令に違反してのストーカー行為も2倍の懲役2年以下か200万円以下の罰金に引き上げ
・被害者の告訴が必要な親告罪規定を撤廃
【禁止命令の手続き】
・公安委員会による禁止命令は警告を経ずに出せるように。警察本部長や署長に委任して行わせることも可能に
【被害防止など】
・ストーカー行為をする恐れがある者に対し被害者の名前や住所などの情報を提供することを禁止
・国や地方公共団体は職員らに、被害者の人権などに理解を深める研修・啓発を行う。加害者の更生や被害者の健康回復に関する調査研究、防止や保護のための措置に努める
(※禁止命令の手続きは公布の6カ月後に施行、それ以外は公布の20日後に施行)