日本政府は今月1日付で、イラク北部のクルディスタン地域政府(KRG)の中心都市アルビルに領事事務所を開設、事務所が置かれる同市内のホテルで11日、開所式があった。
外交窓口としては首都バグダッドの大使館に次いでイラク2カ所目になる。過激派組織「イスラム国」(IS)対策や避難民支援で存在感を増すクルディスタン地域を通じ、復興や人道面での協力を拡大する。
開所式にはイラクを訪問中の薗浦健太郎外務副大臣や、KRGのネチルバン・バルザニ首相らが出席した。薗浦副大臣は取材に対し、「日本が軍事協力をできないことは相手も分かっている。インフラ整備や教育など日本の得意分野で役割を果たしたい」と語った。
KRGはクルド語を母語とするクルド人が多数を占めるイラク北部3州の地域政府で、域内人口約530万人。独自の議会や大統領を持つなど、大幅な自治がイラク憲法で認められている。中心都市アルビルはISが2014年に占拠した都市モスルまで約60キロの位置にあり、対ISの戦闘や避難民の保護ではKRGが最前線に立ってきた。(アルビル=渡辺淳基)