トランプ次期米政権で国務長官に指名されたレックス・ティラーソン前エクソンモービル会長は11日の上院外交委員会での公聴会で、中国が領有権を主張する尖閣諸島について、日米安全保障条約の適用対象になるとの認識を示した。トランプ次期政権の閣僚候補が、こうした方針を示したのは初めて。
公聴会ではマルコ・ルビオ上院議員が、中国が尖閣諸島を武力攻撃で奪取しようとした場合の米国の防衛義務について質問したのに対し、ティラーソン氏は「防衛の保証に関し、我々は日本と約束した合意に従って対応することになる」と述べた。
尖閣諸島の日本防衛義務については、オバマ大統領が2014年4月に来日した際、「日本の施政権下にある領土、尖閣諸島も含めて(米国の日本防衛義務を定めた)日米安保条約第5条の適用対象になる」と発言し、その後の日米共同文書にも方針が明記された。しかし、トランプ氏は選挙戦で在日米軍の撤退論を示唆するなどしており、次期政権での米国の尖閣諸島への対応が注目されていた。
また、トランプ氏が選挙中に示唆した、日本や韓国の核保有容認に関する見解を問われ、ティラーソン氏は「北朝鮮の核兵器配備を認めないことが優先されるべきだ」と述べ、保有容認に否定的な見方を示した。北朝鮮への制裁でも、日米韓が連携する必要があると述べた。(ワシントン=佐藤武嗣)