20日、包括的核実験禁止条約について米国の学生らと対話する北野充・在ウィーン国際機関日本政府代表部大使(右端)とサリバイ・カザフ大使(中央)=喜田尚撮影
国連総会での採択から20年がたった包括的核実験禁止条約(CTBT)をめぐり、発効促進のための共同調整国をつとめる日本、カザフスタンの担当大使が20日、条約機関準備委員会の本部があるウィーンからインターネット電話で米国の大学生らと対話した。北野充・在ウィーン国際機関政府代表部大使は「未完の仕事を完成させなければならない」と訴えた。
条約発効には要件国のうち米国、中国など残る8カ国の批准が必要。対話には、採択20年の昨年に設立された「CTBTOユース・グループ」などで活動するテキサス州の大学生ら15人前後の若者が参加した。
対話は非公開で行われたが、関係者によると、カザフスタンのカイラト・サリバイ在オーストリア大使は米国による批准の重要性を指摘。反対の多い議会に理解を求めるため「これまでと違うアプローチ、世論の喚起が必要だ」として、ソ連時代末期にカザフスタンで起き、核実験中止につながった「ネバダ・セミパラチンスク運動」の例を紹介した。
両大使とも「関心を広げる若者のネットワーク」の重要性を強調。対話終了後、北野大使は「採択から年を経て、それぞれの世代がそれぞれの思いで(CTBTの)重要性を感じている」と話した。(ウィーン=喜田尚)