東京電力は21日、柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)に設置した免震重要棟を、重大事故時の対策拠点として使うことを取り下げる方針を原子力規制委員会に伝えた。耐震性の確保が難しいためという。東電は耐震性の不足を2014年に把握していたが、社内の情報共有ができておらず、今月14日にようやく規制委に報告した。規制委は東電の姿勢に不信感を強めており、年度内にも主な議論が終わるとみられていた再稼働に向けた審査は長引く可能性が出てきた。
東電は21日、規制委の審査会合で、「免震棟では新規制基準を満たさないと判断した」などとして、重大事故時の対策拠点「緊急時対策所」とする方針を撤回した。これまでは、免震棟と、再稼働の審査を申請していない5号機の原子炉建屋に置く耐震の対策所を使い分ける方針だった。今後は耐震の対策所に集約する。
東電はこの日、免震棟を何らかの設備として使いたいと提案をしたが、規制委は「地震に耐えられるか説明できていない。重大事故で使うことは許されない」と否定した。
新潟県の米山隆一知事は21日、耐震性不足について申し入れた説明への回答がないまま東電が免震棟の撤回を決めたことに、「事前に県に何の説明もない」と改めて不快感を示した。(石塚広志、松浦祐子)