東洋ゴム工業が15日発表した2016年12月期決算は、純損益が122億円の赤字(前年は16億円の黒字)に転落した。赤字は8期ぶり。15年3月に発覚した免震ゴムの性能偽装問題の対策費として、計667億円の特別損失を計上したことが響いた。問題発覚後の対策費の累計は1134億円になった。
同日午前、清水隆史社長が大阪市内で記者会見した。対策費には偽装品を交換する工事に加え、被害者への補償などが含まれる。
直近の第4四半期(16年10~12月)で447億円の対策費を追加計上し、偽装発覚後の四半期で最も大きな額を積んだ。偽装があった154棟の建物のうち、交換工事に着工していない分に引当金も積んでいるが、対策費は今後も増える恐れがあるという。
1月末時点で交換工事が着工できたのは46棟で、うち31棟で完了した。ただ、被害者との交渉が終わっていない棟も多い。清水社長は「この金額の重さ、意味合いを受けとめながら、最後の1棟まで交換回収を遂行する所存だ」と話した。
7日に発覚したゴム製品の検査回数の不正では、今月末をめどに原因究明し、新たな再発防止策をつくる方針を明らかにした。
16年12月期決算の売上高は前年比6・4%減の3816億円、営業利益は同22・2%減の493億円だった。本業のタイヤ事業は北米を中心に好調だったが、円高でもうけが目減りした。(新田哲史)