「時間外労働をしても、給与計算の際に残業代分と同額を差し引く」と定めたタクシー会社の賃金規則は無効かどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷(大谷剛彦裁判長)は28日、「一律に無効とはならない」との判断を示した。
残業代払わない会社規則は無効? 最高裁が判断へ
労働基準法は、時間外労働をした場合に、割り増しの残業代を支払うよう定めている。タクシー会社「国際自動車」(東京都)では、残業代が生じた場合、売り上げに応じて支払われる歩合給から、残業代と同額を差し引いて計算していた。このため運転手ら14人が、同法に反しており無効だと主張。2010~12年の未払い分計約3千万円の支払いを求め、提訴した。訴訟で同社は、こうした計算方法をとるのは「会社の管理が及びにくい運転手の非効率な時間外労働を防ぐものだ」などと反論していた。
二審・東京高裁判決は「この計算方法は公序良俗に反しており違法で、規則は無効だ」と判断し、未払い賃金の支払いを命じていた。しかし、第三小法廷は、賃金規則で定めた独自の計算方法を使っても、同法が定めている水準の残業代が実質的に支払われていれば、適法だと判断。今回の計算方法を使った場合に、残業代が実質的に支払われていたかどうかについて検討するため、審理を同高裁に差し戻した。(千葉雄高)