学校法人「森友学園」(大阪市)が4月開設を予定している小学校を巡り、先月開かれた大阪府の私学審議会で、「愛知県の中等教育学校と推薦入学枠の提供で合意した」と報告されたが、この学校を運営する学校法人は「合意は事実無根」と否定している。府教育庁は「両者が合意したかは確認できておらず、報告に事実と異なる内容が含まれていれば指導する」としている。
特集:森友学園問題
小学校は3月23日に開かれる予定の私学審議会の議論を経て、府教育庁が認可すべきかどうか判断する方針だ。府関係者によると、2月22日に開かれた私学審議会で、学園側は新1年生と新2年生で80人ずつ募集したものの、入学予定者は40人と5人だったと報告。寄付金などに頼った収支想定も示されたが、委員から厳しい指摘が相次いだ。
審議会で配られた資料では、学園側は新年度以降の児童確保に向けた取り組みの一つとして、「連携する(愛知県の)中等教育学校への推薦入学制度のアピール」とし、「本校卒業生に対する推薦入学枠を提供して頂くことで合意している」などとし、「定員の確保を実現する」としていた。
だが、中等教育学校を運営する学校法人の広報担当者は「合意どころか、学校法人として何かやりとりをしたような記録もない。そもそも、特定の学校との間に推薦枠を設けておらず、設ける予定もない」と否定する。この中等教育学校は、英国の名門校などをモデルに設立された私立中高一貫の男子校で、全寮制による次世代リーダーの育成を掲げる。難関大学に進学する生徒も多い。
府教育庁私学課は「証明責任は学園側にある。学校法人同士による正式な合意文書を出すよう、学園側に求めていく」と話す。
森友学園の籠池(かごいけ)泰典理事長は2月13日に小学校用地の国有地購入の経緯などを説明して以降、朝日新聞の取材に応じていない。代理人弁護士は3月2日、鴻池祥肇元防災担当相の会見に対する「反論」に応じて以降、取材に対応していない。(石原孝)