鵜住居地区防災センター跡地で献花する三浦芳男さん(中央)。手前は解体されたセンターのがれき=11日午前9時14分、岩手県釜石市、葛谷晋吾撮影
11日午前9時、岩手県釜石市の鵜住居(うのすまい)地区防災センターの跡地で、遺族ら約80人が、亡くなった人たちに祈りを捧げた。建物が津波にのみ込まれ、地震で避難していた200人以上が犠牲になったとされる。
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2階建てのセンターは、津波の避難場所ではなかった。しかし、避難訓練で使われ、多くの住民が逃げ込んだ。遺族らの意向を受けて約3年前に解体された。
跡地には釜石市が慰霊施設をつくる方針だが、完成は2年先だ。地元の要望を受けて、慰霊碑の代わりとなる高さ約2・5メートルの標柱を今月9日に立てた。
地元の遺族団体の代表を務める三浦芳男さん(71)は、妻の郁子さん(当時63)を亡くした。手を合わせながら、花が好きだった妻の笑顔を思い出した。自宅の跡地で見つけたキキョウの株を、手元の鉢で育てている。
すぐそばの山を削って建て直された小中学校や幼稚園には、新年度から子どもたちが通う。一方、宅地のかさ上げと区画整理の工事はまだ終わらず、自宅は再建できていない。「健康なうちについのすみかで暮らしたい。そこにキキョウを植えたい」。6年の歳月の経過に、思いは強くなる。(山浦正敬)