第三者委員会による調査報告を受け、会見するDeNAの南場智子会長=13日午後6時31分、東京都渋谷区、角野貴之撮影
医療などの記事をまとめたDeNA(ディーエヌエー)のキュレーション(まとめ)サイトに不正確な内容があった問題を調査していた同社の第三者委員会が13日記者会見し、医療関係の法令に違反した可能性のある記事の掲載や企業体質を厳しく批判した。経営陣も記者会見し、創業者の南場智子会長が代表取締役に復帰して、社内管理体制の強化に自ら乗り出す考えを示した。
ウェルク記事10本に法令違反の可能性 DeNA報告書
特集:WELQ(ウェルク)問題
「事業拡大だけを優先し、他者が迷惑するという意識がなかった」。第三者委の委員長を務めた名取勝也弁護士はそう述べ、法令を守ることや、病気に悩む読者らへの配慮を軽視してきたDeNAの企業体質を厳しく批判した。
報告書は、外部から問題があると指摘された医療情報サイト「ウェルク」の記事19本のうち、10本で法令違反の可能性があると指摘した。薬の効能表示などについて定めた医薬品医療機器等法違反の可能性があるのは8例。「妊活」の記事でサプリメントの成分に「不妊を改善する効果がある」と書いたことや、せき止め薬についての記事で「副作用が多いような成分ではない」と書いたことなどが該当するという。
特定の病院や診療所が「アトピー性皮膚炎に強い」などと書いた記事は病院の広告を制限する医療法違反に、水素水に「筋肉疲労を防ぐ効果もある」と書いた記事は、健康食品の表示などについて定めた健康増進法違反にあたる可能性があるという。
肩こりについて「霊が原因のことも?」と書いた記事は、検索エンジンで上位に表示されやすくする手法(SEO)を意識して、DeNA側の指示で作られたと指摘。「SEOの観点が過度に重視された結果、内容の合理性等について深く検証しなかった」として、法令違反にはあたらないものの倫理上の問題があると指摘した。