衆院法務委で、民進党の山尾志桜里氏(手前右、後ろ姿)の質問に答弁する安倍晋三首相(中央)。左は金田勝年法相=19日午前9時27分、岩下毅撮影
安倍晋三首相が国会答弁で使った「そもそも」にはそもそも、どんな意味があるのか。犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案を審議する19日の衆院法務委員会で、首相答弁の定義が議論になった。
議論になったのは、過去3回廃案になった共謀罪法案より適用対象を厳しくしたと訴える首相が、「今回は『そもそも』犯罪を犯すことを目的としている集団でなければならない。これが(過去の法案と)全然違う」と述べた1月26日の衆院予算委での答弁。民進党の山尾志桜里氏が「『そもそも』発言を前提とすれば、オウム真理教はそもそもは宗教法人だから(処罰の)対象外か」と尋ねた。
これに対し、首相は「山尾氏は『初めから』という理解しかないと思っているかもしれないが、辞書で念のために調べたら『基本的に』という意味もある」と主張。「オウム真理教はある段階において一変した。『最初から』でなければ捜査の対象にならないという考え方そのものが大きな間違いであり、いわば『基本的に』変わったかどうかということにおいて、『そもそも』という表現を使った」と述べた。
これに対し、山尾氏は「詭弁(きべん)を弄(ろう)して必死にごまかしている。わかっていれば辞書で調べる必要がない」と指摘した。
首相がどの辞書から引用したのか定かではない。ただ、「そもそも」の意味について、『広辞苑』(岩波書店)は「元来」、『日本語大辞典』(講談社)は「最初から」、『大辞林』(三省堂)は「最初」、『日本国語大辞典』(小学館)は「はじめ」と説明しており、「基本的に」とする記述はない。(南彰)