体長1センチ弱で網を張らず、優れた視力でハエなどに飛びついて捕食するネコハエトリ。オス同士が出合うと威嚇し合う(富津フンチ愛好会提供)
新緑の時期、縄張りやメスを巡って戦う習性を利用し、ネコハエトリのオス同士を対戦させるクモ相撲が、神奈川と千葉の東京湾岸のエリアに伝わっている。高度成長期にいったん廃れたが、かつて夢中になった人たちが面白さを知ってもらおうと踏ん張っている。5月の連休には恒例の大会があり、参加者を募っている。
「力士」になるのは、4~5月に最終の脱皮をし、繁殖期を迎えたオス。横浜市では「ホンチ」、千葉県富津市では「フンチ」と呼ばれ、オス同士が出合うと、前脚を振り上げ、体を左右に揺らして威嚇し合う。やがて相撲さながらに組み合い、力比べに負けた方が逃げ出して勝負がつく。
自然の中での闘争を、板の上などで再現させるのがクモ相撲。九州や四国、紀伊半島など各地に伝わるが、ネコハエトリの相撲は東京湾岸の房総半島や横浜や川崎、三浦半島などで盛んだった。しけで漁に出られない時などの漁師の遊びとして、遅くとも江戸時代から伝わるとされる。
「毎年この短い時期しか会えな…