三井物産は、社員に自腹での出資を義務づけた社内起業制度を導入する。社員に身銭を切らせ、より実践的な経営力を身につけてもらう狙いで、すでにアイデアを募集中だ。立ち上げた事業が成功すれば、社員は三井物産を退職し、新会社の社長業に専念できる道も用意した。
商社では、新たな事業を立ち上げる際に会社側が出資するのが一般的だ。今回の新制度は、社員に最低でも数百万円を出資してもらい、リスクをとってもらう。そのうえで会社側が支援し、事業の将来性などを考慮して最大3億円を出資する。会社側の出資比率は、株主総会で拒否権を持てるよう34%以上にする。
新制度に応募できるのは入社7年目以降の社員で、起業後の3年間は出向扱い。給料をもらいながら経営に専念できる。事業が失敗しても会社に戻ることができる。
集まったアイデアから10月末に制度の第1弾となる新事業を決め、来年1月に会社をつくる。その後も半年に1、2件程度の新事業を立ち上げる計画だ。
安永竜夫社長は「個人の力で勝負できる社員を育てないと組織力は上がらない。自らリスクを負うことで、より強い経営力を養ってほしい」と話す。(鬼原民幸)