「出発時刻が前よりも1分早くなったのに、目的駅への到着時刻が1分遅くなった列車がある」。3月4日付の朝日新聞山口版に掲載された「新山口駅『3分間の攻防』、ダイヤ改定で収束?」の記事を見た読者から、こんな情報が寄せられた。早く出発したら、その分早く着くはず。どういうことなのか。調べました。
“テツ”の広場
新山口駅「乗り換え3分の攻防」、そしてダイヤ改定で…
その列車とは、平日の午前8時25分に新山口駅を出発するJR山口線下り宮野行き。3月3日までの旧ダイヤでは午前8時26分に出発、七つ先の山口駅に午前8時48分に到着していた。
3月4日から始まった新ダイヤでは、新山口駅の出発時間が午前8時25分と1分早くなった。ところが、山口駅に到着するのは1分遅い午前8時49分。
なぜ、1分遅くなったのか。
JR西日本の広報担当者によると、謎を解く鍵は停車時間だ。列車の運転は5秒単位で管理されている。山口駅にたどり着くまでに停車する周防下郷、上郷、仁保津、大歳、矢原、湯田温泉の6駅のうち、4駅で停車時間が15秒延長されたのだという。さらに上郷駅では1駅で30秒延ばして1分に。大歳駅では45秒で旧ダイヤのままとした。
さらに、矢原―湯田温泉間の運転時間が15秒長くなった。正確には前のダイヤと比べ、新山口―山口間の所要時間は1分45秒長くなった。
なぜ、停車時間や運転時間は延ばされたのか?
実はこの列車、通勤や通学に最も良く使われる1本。平均利用者は、昨年3月26日現在で248人。乗車率が100%を超えることもある。乗降が多いため、「安全に、快適に利用してもらうため」に延ばしたのだという。
山口線は路線が一つしかないため、運行本数は限られる。「利用実態に合わせてどんどん変えていく」のがダイヤなのだ。
朝の登校、出勤では、1分の遅れが遅刻につながりかねない。「定時運転を目指します」と担当者。(棚橋咲月)