東芝と米ウエスタンデジタル(WD)の仲裁手続きの流れ
東芝と協業先の米ウエスタンデジタル(WD)が近くトップ級の再協議を行うことが分かった。半導体子会社「東芝メモリ」の売却を巡り、WDが国際仲裁裁判所に差し止めを申し立て、対立が先鋭化。東芝は打開する道を探る模様だ。ただ、19日の2次入札は予定通りに実施する。
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関係者によると、WDのマーク・ロング最高財務責任者(CFO)らが来週に来日し、東芝の役員らと協議する見通し。経済産業省や政府系ファンドの産業革新機構など売却先候補の関係者とも会談する可能性があるという。
今月上旬、WDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)が来日し、綱川智・東芝社長と面談していた。WDは同意のない東芝メモリ売却は、「契約違反だ」と主張。ミリガン氏は東芝メモリの経営の主導権を握りたい意向を示したとされる。今回は、WDが14日に提起した売却差し止めについても、両社で折り合いを探るとみられる。
東芝はWDの主張を「入札妨害だ」と非難。WD社員の東芝メモリの工場(三重県四日市市)や通信網へのアクセスを遮断すると警告した。しかし、16日にこうした対抗措置を当面見送った。WD内でも融和論で東芝メモリの買収につなげたい考えもありそうだ。
ただ、東芝は上場を維持するために東芝メモリを今年度内に高値で売却することが必須だ。予定通り19日の2次入札を実施する。台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業や革新機構を軸とした「日米連合」などが応札する見込みだ。