会見に臨む東芝の綱川智社長=15日午後、東京都港区の東芝本社、林敏行撮影
東芝は2017年3月期決算について15日、業績の概要を公表した。監査法人の了承が得られていない暫定値となった。米原発子会社ウェスチングハウス(WH)の破綻(はたん)に伴い、最終的なもうけである純損益は9500億円の赤字。3月末の債務超過額は5400億円となる見通しだ。
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この日が期限となる正式な「決算短信」の公表は見送った。短信は業績速報の役割を果たし、東京証券取引所が上場企業に対して決算期末から45日以内での公表を求めている。法律上は、短信に監査法人の意見は必要ないが、了承を得て公表するのが一般的だ。しかし、東芝はWHの会計処理を巡って、担当する監査法人との関係が悪化。監査の終了を待たずに、16年4~12月期決算を発表した経緯がある。
今回も「見切り発車」で短信を公表すれば、監査法人との関係がより悪化しかねない。東証による上場維持の審査にも悪影響があると判断した。投資家への情報提供として暫定値を公表したが、短信が公表できない異例の事態だ。市場から再び批判も出そうだ。
17年3月期決算について東芝は、監査法人の了承を求め、作業が完了した段階で短信を公表する方針。6月末には関東財務局に対して「有価証券報告書」も提出しなければならない。監査意見をつけることが法律上求められており、監査法人の対応が焦点となる。(清井聡)