米電力大手エクセロン社は24日、運営するスリーマイル島原発1号機(ペンシルベニア州、加圧水型)が、2020年6月から1年間の電気を売るためのオークションで、販売枠を得られなかったと発表した。原発の電力価格が市場価格より高かったため。電気が売れなかったり、安く買われたりして収益が見込めなければ、事故を起こした2号機とともに早期廃炉に向かう可能性がある。
スリーマイル島原発は2号機が1979年に米史上最悪の炉心溶融事故を起こした。溶けた燃料の取り出しは90年に終わったが、廃炉は運転を続ける1号機の閉鎖を待って行われる。1号機は2034年までの運転許可を得ているが、ここ5年採算が取れておらず、過去3回のオークションでも失敗している。同社幹部は地元メディアに「今年のオークションの結果は、原発を存続するかどうかの決定にかなり重要だ」と語っていた。
同社は声明で、「電力価格の低迷と、国や州の支援がないことが原因」だとして、ニューヨーク州やイリノイ州などのように、原発を温室効果ガスの排出ゼロの電源として優遇し、支援策を設けるよう訴えている。米国では電力需要が減っていることに加え、シェール革命で天然ガスの値段が下がっていることから、原子力発電の市場競争力が落ちている。(ワシントン=香取啓介)