退位をめぐる今後の流れ
天皇陛下の退位を実現する特例法が成立した。現憲法が定める象徴天皇の退位は初めてで、今後の焦点は退位日と新元号の制定に移る。陛下や皇太子さまの代替わりに向けて具体的な準備が始まる一方、政府は女性宮家創設の是非など皇室を安定的に続けるための検討に取り組むことになる。
天皇退位の特例法、参院で可決成立 退位は明治以降初
特集:これまでの退位をめぐる議論
「遺漏なきよう特例法の施行に向け、準備を進めたい」。安倍晋三首相は9日、首相官邸で記者団にこう語った。
特例法の成立を受け、今後は政府が天皇陛下の退位と皇太子さまの即位、そして改元のタイミングを決めることになる。退位日となる法の施行日は「3年を超えない範囲」とされた。ポイントとなりそうなのが、国民生活への影響や宮中行事を踏まえた宮内庁の意向、今後の政治スケジュールとの兼ね合いだ。
陛下は昨年8月のお気持ち表明で「戦後70年という大きな節目を過ぎ、2年後には平成30(2018)年を迎えます」と述べた。政府は18年を節目ととらえ、同年12月下旬に陛下の退位と皇太子さまの即位を実現し、19年元日に改元する日程を軸に検討してきた。
だが、宮内庁は最近になって、首相官邸に「12月中の退位と即位は難しい」と伝えた。「両陛下は秋から年明けにかけて特にお忙しく、準備も含めご負担は相当なものだ」(宮内庁関係者)との事情からだ。
秋には「三大行幸啓(ぎょうこうけい)」の一つとされる国民体育大会など地方訪問のほか、園遊会や勲章親授式、宮中祭祀(さいし)の新嘗祭(にいなめさい)などが続く。年末も大みそかまで皇室行事があり、元日は早朝の四方拝(しほうはい)から新年行事が相次ぐ。
19年1月7日には昭和天皇逝…
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