政府は6日、2017年版「環境・循環型社会・生物多様性白書」を閣議決定した。昨年発効した地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」について、トランプ米大統領が離脱を表明したが、「世界全体で脱炭素社会に向けて走り出している」として、改めて重要性を強調した。
特集:パリ協定
日本は50年までに温室効果ガスを80%削減する低炭素社会を目指している。白書では「カーボンバジェット(炭素予算)」という考え方を取り上げ、世界の気温上昇を産業革命前から2度以内に抑えるというパリ協定の目標を達成するには、人類が排出できる二酸化炭素(CO2)を「残りは約1兆トン」と明記した。
さらに、CO2の排出に価格を付けて削減を促す「カーボンプライシング(炭素の価格化)」の役割が増していくと指摘、温暖化対策への政府の基本的な考えとした。導入して得られる収入は「環境以外の側面に貢献できる可能性がある」とし、社会保障やインフラ投資などに使う国があることを紹介した。
温室効果ガス排出量を少なくし、製品やサービスに高い付加価値を生む「炭素生産性」という考え方も盛り込み、排出削減と経済成長を続けるために「炭素生産性を大幅に向上させることが不可欠」とした。
また、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を初めて取り上げた。貧困や教育といった世界の課題と、それを解決しようとする取り組みを紹介している。(戸田政考)