最終選考会で、若者に質問をするソフトバンクグループの孫正義社長
ソフトバンクグループの孫正義社長が私財を投じて育英財団を設立し、優秀な若者に必要なだけ資金支援する。5月の最終選考会には全国から秀才・異才が集まり自己PRを競った。審査員として臨んだ孫氏は目を潤ませ、「感動した。日本も捨てたもんじゃない」。希代の投資家の孫氏は今回「あしながおじさん」として人に投資する。
「考え続ける若者に感動」 孫社長、財団設立への思い
東京都内のホテルで開かれた孫正義育英財団の最終選考会は孫、学者の山中伸弥、棋士の羽生善治、みずほフィナンシャルグループ(FG)社長の佐藤康博、三井住友FG社長の国部毅各氏らそうそうたる審査員が並び、9歳から26歳の60人がプレゼンした。
その一人、東京の中学2年生の中馬(ちゅうまん)慎之祐君(13)は卵アレルギーがある。海外での食事を想定し、卵や甲殻類などを避けたいと入力すると、英語、ドイツ語、中国語などで表示されるアプリを開発。小中高生対象のアプリ甲子園で優勝した。
堂に入ったプレゼンを聞いて孫氏は「すごいね」と一言。「何人が使っている?」と聞くと、中馬君は「1300人です」。すると孫氏らしい助言をした。「たくさんの人に使ってもらえることも大切だよ」
教員志望だった孫氏は、意欲があってもお金がなく留学できない若者の存在に心を痛めてきた。「だったら必要なだけ僕が出そう、と。総額? 億円はいくでしょう」。震災復興支援財団に40億円、自然エネルギー財団に10億円を投じたのに続き、3回目の私財拠出である。
売名行為と受け取られかねない…