自民党都連の下村博文会長の地元にある商店街。都議選で自民現職の元秘書2人が落選した=3日午後、東京都板橋区、小早川遥平撮影
自民党が惨敗した東京都議選。その象徴と言えるのが板橋区選挙区(定数5)だ。安倍晋三首相の側近、下村博文・東京都連会長の地盤だが、自民を追い詰めた火もここから燃え広がり、下村氏の元秘書の自民現職2人は共産現職や民進現職にも敗れて共倒れした。吹き荒れた逆風の正体を探ろうと、投開票から一夜明けた街を歩いた。
都心の最高気温がこの夏最高の32・5度に達した3日、東武東上線大山駅の東に広がる商店街で、落選した元秘書の河野雄紀氏(47)が歩き回っていた。炎天下にもかかわらず、黒い上着。表情は浮かない。
「申し訳なかったです。また頑張ります」
頭を下げる河野氏の後ろ姿を、自分の店先に出た男性(62)は寂しそうに見送った。選挙終盤、一緒に商店街を歩くと、河野氏は道行く人に握手を拒まれることがあった。「これまで握手を拒否する人はいなかった。本人の責任じゃないよね」と同情を寄せる。
板橋区は下村氏の牙城(がじょう)のはずだった。板橋区が選挙区の衆院東京11区で、下村氏は連続7回の当選を誇る。都内の25小選挙区で4選挙区しか自民が勝てなかった2009年の衆院選でも議席を守った。今回は元秘書2人の再選を狙った。
選挙戦の後半、その板橋区で自民党への逆風が暴風に変わった。投開票の5日前、稲田朋美防衛相が「防衛省、自衛隊としてもお願いしたい」と発言したのは、商店街から約3キロ離れた板橋区立小学校だ。投開票の3日前には、加計(かけ)学園をめぐる下村氏への献金疑惑が報じられた。
ある自民区議は「下村さんの問…