経営が悪化した東芝による半導体子会社の売却で、優先交渉先の「日米韓連合」に加え、現在の協業先の米ウエスタンデジタル(WD)や、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業とも交渉が行われていることが明らかになった。「本命」とされる日米韓連合との交渉に手間取っているためで、売却を巡る混迷が続いている。
東芝が取引銀行を集めた11日の説明会で、財務担当の平田政善専務らが明らかにした。原発事業の損失を埋めるため、「東芝メモリ」の売却交渉を、政府系の産業革新機構や韓国半導体のSKハイニックスなどの連合と進めているが、関係者によると、正式契約の協議に時間がかかっている、と説明されたという。
東芝は先月21日に日米韓連合を優先交渉先に選んだ。当初SKは買収資金の融資のみで出資はせず、議決権は求めないとされていた。その後議決権を求めることも検討され、協議に時間がかかっている模様だ。
また、東芝は説明会で「数週間以内に決めたい」と早期売却の方針を示し、WDや鴻海と交渉していることも明かした。日米韓連合も了承しているという。
東芝とWDは半導体事業で協業しているが、WDは東芝による事業売却に反対。WDが米国の裁判所に差し止めを訴える事態になっている。14日には初の審問が開かれ、売却差し止めの決定が出る可能性もあるが、東芝は説明会で、決定にかかわらず売却交渉を進める意向を示したという。
東芝は今年3月期決算で債務超…