経営が悪化している東芝の監査を巡り、日本公認会計士協会は13日、監査を担当するPwCあらた監査法人の調査を始めたと明らかにした。2016年4~12月期決算は監査法人が内容について判断しない「意見不表明」となり、17年3月期決算も監査が遅れているため、問題点を調べる。また、10年~16年3月期の監査を担当し、不正会計を見抜けなかった新日本監査法人に対しては、会員権を9月12日までの2カ月間停止する。
東芝監査、意見「不表明」へ 有価証券報告書、3月期も
協会の関根愛子会長が記者会見で明らかにした。東芝の16年4~12月期決算では、過去の原発事業の損失について、経営陣が事前に認識した可能性があるとするPwCあらたと経営陣が対立。法律上の決算提出期限を2度延期し、結局、4月に監査法人の意見不表明の状態で発表した。17年3月期決算も提出期限を延期し、まだ発表していない。関根会長は、「憂慮しているが、適正意見の表明に向けて業務を遂行されていると理解している」と述べた。
新日本については「本来、実施すべき手続きが実施されていなかった」(関根会長)と会員権停止の処分を決めた。停止により、協会への意見表明ができないなど活動が制限されるが、監査業務は続けられる。新日本に対しては、金融庁が16年1月、約21億円の課徴金納付命令を出した。同命令から1年半後の処分となったことについて関根会長は「会員権停止は重い処分。専門的な判断も要することから、慎重に調査した」と説明した。(真海喬生)