商店街の店舗の壁に作った巣で、ひなにエサを与える親ツバメ=大阪市淀川区
つばめ通り――。巣を作るツバメがあまりに多いことから、そんな愛称がついた商店街が大阪・十三にある。集う人とともに、ツバメの姿も減り、今ではそう呼ぶ人も少なくなった。そんな中でも、ツバメとの共存の歴史を記録する活動が進んでいる。
阪急・十三駅東口から北へ約100メートル。大阪市淀川区の十三東本通商店街で4日、ツバメの観察会があった。鳥類を調べる山階鳥類研究所の鳥類標識調査員、久下直哉さん(40)が、巣を指さしながら説明した。
「ツバメはきれい好き。ヒナはふんを巣の外に落とします」「餌のガやハエは雨の日は高く飛ばない。ツバメが低く飛んだら雨が降ることが多いんです」――。参加した女性(41)は「知らなかった。面白い」と話した。
会を開いたのは、大阪市で広告会社を営む藤田ツキトさん(38)と大阪市立大の大学院生、荒川莉佳子さん(23)らだ。まちづくりや商店街を活性化する活動や研究をしており、4月に「ツバメノキロクヤ」という活動を始めた。
観察会を月に1回程度開き、フェイスブックで記録を発信。会の参加者もフェイスブックで集める。藤田さんは「ツバメだけじゃなく商店街の人や風景の記録も重要です」と言う。
長さ300メートルほどの商店街では、かつて至る所で巣が作られ、1995年に12の巣があったとの記録も残る。多い理由について久下さんは「淀川が近くて餌が豊富だから」と説明する。
「つばめ通り」の名付け親は、商店街で医院を営んでいた故小竹武さんだ。30年ほど前、ツバメで商店街を盛り上げようと、医院の前に「つ波め通」と刻まれた石碑を置き、ご当地ソング「燕(つばめ)のピーチャン」も制作。子どもたちが自然学習などをする「つばめ塾」も商店街の一角に開設し、つばめ通りの名を広めた。
だが、商店街では10年ほど前…