東芝の株主総会の会場に入る株主たち=28日午前9時37分、千葉市美浜区、池田良撮影
経営再建中の東芝は28日午前、千葉市の幕張メッセで定時株主総会を開いた。綱川智社長は、作業の遅れで正式な決算報告ができない異例の総会となったことなどを株主に陳謝した。総会前に決着させ、報告するとしていた半導体子会社「東芝メモリ」の売却契約締結も先送りを発表した。
総会の冒頭、綱川社長は6月末が法定期限の2017年3月期の有価証券報告書(有報)の提出を延期することや、東芝株が8月から東証2部に降格することを説明。「関係者の皆様に、度重なるご心配をおかけしていることをおわびします」と陳謝した。
一方、任期が切れる綱川社長ら取締役9人について「(9月末にも予定する)臨時株主総会で信任を諮りたい」として当面、再任する議案が承認された。総会は午後1時すぎに終わった。
東芝メモリの売却については、東芝は経済産業省が主導する「日米韓連合」を優先交渉先に選び、契約の締結に向けた作業を進めてきた。綱川社長は総会前の締結は「可能だ」と自信を見せていたが、28日午前に「複数の当事者による調整に時間がかかっており、現時点で合意にいたっていない」と発表した。なるべく早期の合意を目指して交渉を継続するという。
総会では経営陣に批判が集中。株主から「なぜ決算報告ができないのか」という質問が出たのに対し、監査法人出身の佐藤良二・監査委員会委員長が「(米原子力事業での)損失を認識した時期について、監査法人にもっと調査が必要だと言われている。7月末には結論がでる見込みだ」と釈明した。
「役員の数が多すぎる。大幅に減らすべきだ」との意見には、牛尾文昭専務が「基準に見合う適切な人選をしている。ご理解をいただきたい」と説明した。