多くの来場者でにぎわう「湯~園地」=別府市の別府ラクテンチ
温泉を浴びながら遊園地を楽しむというネット上の架空の話から始まった「湯(ゆ)~園地(えんち)」が29日、大分県別府市の遊園地「別府ラクテンチ」に開園した。大勢の客が訪れ、ボランティアが運営を支えた。うだるような暑さの中、目玉のジェットコースターは最大3時間待ちの大行列ができた。
「湯~園地」ほんとに実現 資金募り3日間限定 大分
開園の午前7時、メインゲート前には約100人の客が集まった。東京から一番乗りした夫妻は「感動した動画の世界を肌で感じようと、駆けつけた」。ぬれてもいいようにTシャツや水着に着替え、風呂あがりのように白いバスタオルを巻く客も目立った。
用意された12のアトラクションのうち、実際に八つに温冷泉が使われている。
ジェットコースター(24人乗り)は、座席に温泉水を入れると重量制限を超えるため、温泉成分を含む植物性オイルの泡を開発して注いだ。動き出すと、かんきつの香りがする泡を飛ばしながら、疾走していた。浴槽つきメリーゴーラウンドを見た福岡市からの学生3人組は「動画とそっくり」と盛り上がっていた。
運営を支えるのは、1千人近いボランティア。地元で看板会社を経営する権藤和雄さん(55)は「手伝っちゃりたい。何かせないかんち思うのは、別府の特徴かな」と週2日以上、準備に参加してきた。
長野恭紘市長も園内で開いた記者会見で、「ボランティア一人ひとりの努力の結晶が実を結んだ」と協力に感謝していた。
一方、隣接する大分市のこの日の最高気温は34・1度と猛暑日目前の暑さ。福岡市から家族4人で来た建設業の今村満弥さん(41)は「どの施設も2、3時間待ち。うちには就学前の子もいて暑くて待てない」とぐったりした表情だった。(加藤勝利)