アマゾンの電子マネーを買わされた女性に届いたメール。「有料動画の閲覧履歴が発生しています」「法的手続きに移行」「ヤフーサポートセンター」などの文言が使われていた(画像の一部を修整しています)
コンビニエンスストアで「アマゾン」などの電子マネーを買わされる、架空請求の詐欺被害が拡大している。年配の被害者が多い振り込め詐欺と違い、若者もだまされるのが特徴だ。警察が注意を呼びかけているほか、コンビニなどの業界も「水際対策」を始めた。
■アマゾンカード、目立つ被害者
電子マネーは、ネット通販大手のアマゾンや楽天などがコンビニなどで販売している。購入後は券の裏面に英字や数字で書かれたコードを各社ウェブサイトで入力することで、券の表示額分の買い物ができる。
電子マネー詐欺の典型的な手口は、まず犯人側が「有料動画の未納料金が発生している」とうその内容のメールを無作為に送る。驚いて電話をかけてきた被害者にカードを買わせ、コードを伝えるよう指示する。犯人側は入手したコードで商品を買って転売したり、コードそのものを闇サイトで売買したりして、現金化しているとみられる。
捜査関係者によると、特にアマゾンの電子マネーを買わされる事案が多いという。同社は電子マネーの利用額に上限がなく一度に大きな金額が使えるうえ、サイトの品ぞろえも豊富なことが理由とみられる。
被害はここ数年で急激に増えている。警察庁によると、今年上半期は全国で1530件と昨年同期の約3・5倍。被害総額は約7億7530万円にのぼった。愛知県警によると、同県内では昨秋ごろから被害が増えはじめ、1~7月で144件、計約1億1440万円の被害が発生。被害額は既に昨年1年分(約5750万円)を超えた。2月には計約2152万円分を買わされる高額被害も判明した。
日本弁護士連合会で消費者問題対策委員会委員を務める岩城善之弁護士(愛知県弁護士会)は「電話やスマホでアマゾンの電子マネーの購入を求められたら、100%詐欺だと思った方がいい」と助言する。だまし取られたら「お金はまず返ってきません」という。