福島大の「うつくしまふくしま未来支援センター」は、原発事故で大半の住民が避難を強いられた双葉郡7町村の住民へのアンケートの中間報告をまとめた。現在の職業は「無職」が55・5%と半数以上を占めた。東日本大震災と原発事故から6年半。住民の自立に向けた支援の重要性が改めて浮き彫りになった。
調査は、2011年以来、2回目。広野町を除く双葉郡7町村の全住民2万6582世帯を対象に今年2~3月にかけて郵送で実施。37・9%にあたる1万81世帯が回答した。
労働の担い手となる15~64歳でも、「無職」は31・9%と、震災前の3倍の水準だった。半面、「正規の職員・従業員」は、震災前の61・8%から41・3%に減っていた。
現在の生活設計の手立てについて複数回答で尋ねたところ、「賠償金」が56・4%で最多。「年金・恩給」が50・7%で続いた。「勤労収入」は32・7%だった。事業や営農の再開が思うように進まぬ中で、賠償金や年金、預貯金で生活を工面している実態が浮かび上がった。
現在の住居については、「購入・再建した持ち家(集合住宅を含む)」が44・8%で最も多かった。中でも、全町民の避難が続いている双葉町で57・4%、大熊町でも55・4%となり、避難先への定着が進んでいる実情が映し出された。
将来の自分の仕事や生活への希望については、「大いに希望がある・希望がある」は計16・1%だったのに対し、「あまり希望がない・まったく希望がない」は計50・4%と半数を占めた。
調査グループ代表の立命館大准教授(福島大客員准教授)の丹波史紀氏は「生活再建の道筋は、被災者の努力や賠償の仕組みだけでは立ちゆかない。就労支援などと結び付ける行政のサポートが必要だ」と指摘している。(内山修)