「グランパとグランマのお店」。赤いエプロンでにこやかに接客する=茨城県笠間市の「笠間民芸の里」
「第二の人生では、これまで以上に世の中の役に立ちたい」。そう考える高齢者は少なくない。そこで注目されているのが「ソーシャルビジネス」だ。無理なく活動を続けながら社会に貢献する。そんなビジネスモデルを追求する団体が増えている。
スタッフ28人の平均年齢は70歳で、最高齢は78歳。茨城県笠間市に、その名も「グランパとグランマのお店」というコミュニティーカフェがある。運営するのは、「シニアNPO」を名乗る団体「グラウンドワーク笠間」。交代で週1、2回、赤いエプロンを着けて店に立っている。
「日本三大稲荷」の一つ、笠間稲荷神社や、陶芸の笠間焼が有名な観光地。地元産の栗で育った豚「マロンポーク」のトンカツやメンチカツ、角煮まんじゅうが人気で、店頭販売の2号店もオープンした。
理事長の塙(はなわ)茂さんは、まもなく75歳になる。18日の「敬老の日」に合わせ、地元で催される敬老会への案内状が初めて届いた。「年寄り扱いするなと怒る人もいますが、私は喜んで出席しますよ」と笑う。
元は電動工具メーカーの会社員。57歳と66歳で2度、リタイアした。「毎日が日曜日」を満喫していたある日、ゴルフ仲間と「人生の最後ぐらい、人のためになることをやろうや」と盛り上がった。それが、2012年のNPO設立につながった。
「会社員時代は自分と家族のために夢中で働いた。結果的に世のためになっていたのかもしれませんが、今は最初から、世のために働くことが目的です」。カフェの継続のためには、多少の利益は必要だが、目的はあくまで社会貢献。シニア世代の集いと活躍の場を作るとともに、ふるさとの活性化にも貢献することを目指している。
夢はさらに膨らむ。カフェが立…