浅草周辺が浸水したイメージ映像(国土交通省荒川下流河川事務所・NHK提供)
あふれた雨水で地下街や住宅街、駅などがまひする「都市型水害」。列島各地で近年目立つ。雨水を流す下水道、ためる貯留管などインフラ対策の一方、地域の施設を活用した「雨水の分散管理」や、浸水の恐れがある地域での建築を規制する条例など、新しい取り組みが進められている。
下水道の大雨浸水対応、市街の42%が未達成
災害大国:風水害
「中央区、千代田区などのオフィス街はすべての機能を失った」。ユーチューブで公開中の「荒川氾濫(はんらん)」は、強い雨が降る中、東京東部を南北に流れる荒川の水害に端を発し、丸の内や銀座など都心部が水没する様子をCG映像で伝える。
想定する降水量は3日間で500ミリ超。東京都北区の堤防が切れ、12時間後には約15キロ離れた東京駅で構内の浸水が始まり、数十万人が孤立、電気や通信網が遮断された――。そんな生々しい映像が流れ、最後に、「日頃からハザードマップを確認し、高台など安全な場所へ避難できるように」と呼びかける。7月に公開され、再生回数は約2万回を数える。
映像を制作したのは国土交通省荒川下流河川事務所。佐藤務・総括地域防災調整官は「堤防などハード面の対策には限界がある。水害のリスクを正しく理解し、備えを進めてもらいたい」と話す。
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