米軍普天間飛行場に駐機している大型輸送ヘリコプターCH53Eの周りには米兵の姿が見られた=16日午前10時53分、沖縄県宜野湾市、金子淳撮影
沖縄県東村(ひがしそん)高江周辺のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)6カ所の使用禁止を求める抗議決議を、沖縄県議会が16日、全会一致で可決した。米軍の大型輸送ヘリCH53Eが民有地に不時着、炎上した事故を受けて県民の抗議の声が強まる中、衆院選への影響を懸念する自民党も賛成に回った。
決議は「県民を巻き込む大惨事寸前の事故」と位置づけ「基地と隣り合わせの生活を余儀なくされている県民に強い衝撃を与えた。米軍の安全管理体制の不備を指摘せざるを得ない」と批判。民間地や水源地上空での飛行訓練の中止も求めた。
沖縄県議会は米軍関係の事件事故が起きるたびに抗議決議を可決してきた。ただ、昨年5月に元米兵が逮捕された女性殺害事件の際には、「海兵隊撤退要求」を盛り込むかで与野党が対立し、自民は退席。2016年末の名護市沿岸でのオスプレイ大破事故の時も「オスプレイ配備撤回」を求めるかで意見が合わず、自民は反対に回っていた。
しかし今回の事故は、衆院選公示の翌日。さらに、米軍北部訓練場の過半返還の条件としてヘリパッド6カ所が造られた高江地区で起きた。訓練場返還は政府与党にとって沖縄の負担軽減の「成果」だったが、翁長(おなが)雄志(たけし)知事は「政府は基地負担軽減と言うが、具体的なものは全く前に進んでいない」と政府批判を強めている。
自民県連幹部の県議は「選挙期間中だったので、ぎりぎりの判断をした。地元からの抗議もあり、無視はできない」と話した。
翁長氏を支える社民、共産などの「オール沖縄」側も歩み寄った。当初、決議案に「ヘリパッドの撤去」を盛り込むべきだとの意見もあったが、今回は県民総意の抗議を優先。文言を「使用禁止」にして、全会一致となった。(山下龍一)