朝鮮通信使の行列を描いた「朝鮮国信使絵巻」(部分)=長崎県立対馬歴史民俗資料館提供
歴史的に貴重な文書や絵画などを対象としたユネスコの「世界の記憶」(旧・記憶遺産)に、江戸時代に朝鮮王朝から日本に派遣された外交使節団「朝鮮通信使」の資料の登録が決まった。歴史認識をめぐる政治的な摩擦が絶えない中、日韓が200年以上、平和を維持した歴史があることを知ってもらおうと、日韓の団体が昨年、共同申請した。
豊臣秀吉による出兵(文禄・慶長の役)後、江戸幕府は朝鮮王朝と国交を回復。連行された捕虜の帰還や将軍の代替わりの祝賀などのために1607~1811年に12回、通信使が来日した。漢陽(ソウル)~江戸の間の長い距離をたどり、国書交換など外交だけでなく、学問や文化の交流を繰り広げた。
申請史料は外交記録、旅程の記録、文化交流関係記録の計111件333点。日本側は、対馬藩が国交回復実現のため改作したものも含めた「朝鮮国書」、「朝鮮国信使絵巻」などの記録画、対馬藩お抱えの儒学者で「誠信」を重んじた外交方針を説いた雨森芳洲(あめのもりほうしゅう)の関連資料など12都府県にある48件209点。韓国側は各回の使行録(通信使の日記)や文化交流の中で作られた詩画など63件124点。
申請したのはNPO法人「朝鮮通信使縁地連絡協議会」(長崎県対馬市)と韓国の釜山文化財団。連絡協議会の松原一征(かずゆき)理事長は「世界の人々に朝鮮通信使を平和友好の参考事例としてもらいたい」と語る。
九州関連の登録は、2011年…