受章の喜びを語る松本隆さん
作詞家の松本隆さん(68)が3日発令の紫綬褒章受章者に選ばれた。「木綿のハンカチーフ」「ルビーの指環(ゆびわ)」「赤いスイートピー」「硝子(ガラス)の少年」などなどヒット曲は数知れず。今回の受章を「びっくりすると同時に光栄に思います。『寄らば大樹』を好まず、若いときから大きな組織に頼らず仕事をしてきた。守ってくれるのは自分の作品だけ。自分の作品が僕の存在を証明してくれる。その努力を国にも認めてもらったことがうれしい」と語る。
十代からドラマーとして活動し、ベースの細野晴臣さんらと組んだバンド「はっぴいえんど」で書いた詞は70年代初めに日本語ロック論争を引き起こすなど日本のポップカルチャーに多大な影響を及ぼしている。代表曲「風をあつめて」は映画「ロスト・イン・トランスレーション」でも流れた。「自分がドラマーであることが作詞に役立っている」と松本さん。「論理立てて日本語をロックの詞にしたはっぴいえんどは実験そのもの。バンドはすぐに解散してしまったが、その物足りなさから後年、聖子の曲に細野さんや大滝詠一さんを引っ張り込んだ」
大天才と敬意を表する作曲家・筒美京平さんはもとより、「萩田光雄さん、船山基紀さん、大村雅朗さんら優秀な編曲家、レコード会社の人たちなどが周囲にいてくれたからこそ、この褒章がある」という。「松田聖子さん、薬師丸ひろ子さんらスターにも恵まれた。彼女たちの生き方をお手本とする若い女性たちに夢や希望を与えられたらいいなと、キャラクターを作っていった」。「硝子の少年」や「瞳はダイアモンド」を例に挙げ、「人間、失恋もするけれど、最後に日が差すような詞を心がけている。折れた心を何とか癒やせれば」と願う。
「年中スランプ。年中行き詰ま…