内閣府は8日、公文書を管理する際の基準になるガイドラインの見直し案を公文書管理委員会(委員長・宇賀克也東大大学院教授)に示した。森友学園、加計学園問題で公文書管理のあり方が問題化したのを受けた内容で、保存期間を「1年未満」にできる文書の範囲を明確化。重要な文書が短い期間で廃棄されないようにすることなどが柱だ。
政府は国民の意見を募るパブリックコメントを経て、年内にガイドラインを改正する。
各省庁は、ガイドラインに基づく文書管理規則を作り、行政に関する公文書の内容や重要性に応じて保存しなければならない期間を1年~30年と定める。文書を廃棄するためには内閣府の審査が必要になる。
だが、各省庁が文書管理規則で定めた類型に当たらない文書だと判断すれば、保存期間を1年未満と解釈し、内閣府の審査を経ずに廃棄していた実態があった。森友問題でも国有地売却に関する学園側との交渉記録が1年未満の文書と判断され、廃棄されていた。
見直しでは、各省庁などの意思決定過程の検証に必要な文書について、「原則として1年以上の保存期間を設定」と明記した。その上で、1年未満に分類できる文書の例を具体的に示し、省庁の判断で廃棄できる範囲を狭めることにした。また、どんな文書を廃棄したのかがわかるよう記録・公表することも決めた。
今回の案には、ある省庁が他省庁や民間企業などの外部と打ち合わせや協議をし、その内容を議事録に残す際、原則として相手に発言内容を確認することが盛り込まれた。加計学園の獣医学部新設問題では、文部科学省が内閣府から「総理のご意向」などと言われたとする記録を文書に残していた。一方、内閣府は発言を否定し、双方の言い分が食い違っている。今回の見直しはこうした点を踏まえたものだ。
内閣府は9月、「正確性の確保」を目的に各省庁に今回の案で示した運用をするよう通知していた。
■行政の透明化へ前進…