東京都は、小池百合子知事の主導で6月から始めた都発注工事の入札制度を見直す方針を固めた。現在の入札制度は、豊洲市場や五輪関連施設で高額の落札が続いたことなどを踏まえて導入されたが、ルールが厳しく手続きが滞るケースが相次いでおり、再検討されることになった。
現行制度は落札額の抑制や競争性の向上を狙い、比較的高額な工事を対象に、予定価格の公表時期を入札前から入札後に変更▽参加が1者なら中止してやり直し▽JV結成義務の撤廃――などを導入した。
都によると、6月の導入時から今月13日までに1者入札で中止になったのは、対象237件のうち19%の44件。入札価格が予定価格を超え、契約に至らないケースも相次いだ。大手ゼネコンの関係者は「事後公表なので、予定価格を超えるのは当然」と話す。来年10月の開場を目指す豊洲市場の安全対策工事でも全9件のうち6件が不調となり、築地市場からの移転の遅れが懸念されている。
都幹部によると、見直しでは、予定価格の事後公表や、1者入札の場合のやり直しをする工事を絞り込むことなどを検討するという。外部有識者らの意見を聞き、年内にも見直し案をまとめるという。
現行制度は、小池氏が豊洲市場の主な建設工事が予定価格の99%超で落札されたことなどを問題視し、外部顧問らがまとめた。建設業界から「過度な競争を招きかねず、中小企業の弱体化が懸念される」などの反対意見があったが、小池氏は「競争性、透明性を高める」と導入を進めた。(伊藤あずさ、石井潤一郎)