参院本会議で所信表明演説をする安倍晋三首相=17日午後1時44分、飯塚晋一撮影
安倍晋三首相が17日の参院本会議で行った所信表明演説で、「高等教育の無償化」に関するくだりを読み飛ばす一幕があった。議場の拍手に気を取られたとみられる。参院に先立つ衆院本会議では原稿通り読んでいた。演説は閣議決定されており、読み飛ばしても内容に変更はない。
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首相は参院本会議で、貧しくても進学できる環境づくりの重要性に触れ、「そういう日本に、皆さん、していこうではありませんか」と呼びかけた。議場から拍手が送られると「真に必要な子どもたちには高等教育を無償化します」とのくだりを読み忘れ、次の話題に移った。
安倍首相は第1次政権の2007年にも、参院の演説で、翌年の洞爺湖サミットへ向けて「引き続きリーダーシップを発揮していく」とのくだりを読み飛ばしたことがある。
首相が演説を読み飛ばすことは過去にもたびたびあった。議事録では実際の発言通りになる。参院事務局によると、読み飛ばした部分を後から議事録に追加することもできるが、実際に追加したのは1980年の鈴木善幸首相以来ないという。(山岸一生)