村田ヒトミさん(右手前から2人目)らをねぎらう天皇、皇后両陛下(1999年8月、北海道奥尻町、同町提供)
てんでんこ 皇室と震災・第3部14
教訓を伝えるため語り部に、陛下の言葉に背中を押された
北海道南西沖地震から約6年後の1999年8月、天皇、皇后両陛下は復興状況を視察するため、再び奥尻島に赴いた。
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奥尻町海洋研修センターで、復旧や復興に尽力した団体の代表者をねぎらった。89年から日本赤十字社の名誉総裁を務める皇后さまは、同町赤十字奉仕団委員長だった村田(むらた)ヒトミさん(69)の胸の赤十字と書かれた名札を目にして「大変ご苦労さまでした。災害の時は、どんな活動をされましたか」と尋ねた。
村田さんが「実はお恥ずかしいことですが、(奉仕団は)災害の後に結成いたしました」などと答えると、皇后さまはうなずき、「団員は何人ですか」と重ねて質問した。
「これからも色々な活動に堪えて成し遂げて下さい」。皇后さまから最後にそう励まされた。感動し、その後も防災訓練での炊き出しや、募金活動を通じた被災地への見舞金送付など、細々とだが活動を続けてきた。
地震が起きた時、ホテルで働く傍ら珠算教室を開いていた村田さんは自宅2階で珠算検定の準備中に被災した。自宅から海はすぐ近く。「尋常ではない揺れ」に、1階にいた母と高台に駆け上がった。けがはなく、仕事先にいた父と夫も無事だったが、自宅の建物に漁船が突っ込み、漂流物が押し寄せた。
青苗中学校体育館(当時)に避…