南三陸さんさん商店街を視察する天皇、皇后両陛下。皇后さまは被災した「アストロ・テック」が作ったバッグを手にしていた=2014年7月、宮城県南三陸町、朝日新聞撮影
■てんでんこ 皇室と震災・第3部4
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天皇、皇后両陛下が伊豆大島を訪れた2014年2月28日。皇后さまが手にしていたバッグに注目が集まった。シルバーの小ぶりのボストンバッグ。宮城県南三陸町の町工場「アストロ・テック」が作製したものだ。
「明日を取ろう、技術で」。佐藤秋夫(さとうあきお)さん(67)がそんな思いで創業したのは03年7月だ。もとは時計メーカーで働いていたが、数多くの部下をリストラする立場になり、「自分だけ残るわけにはいかない」と退社。部下数人と電子部品製造会社を立ち上げた。
順調に成長していた11年3月11日。東日本大震災の津波で工場が被災し、自宅も流された。だがリストラはせず、約1カ月後に登米市の空き工場を借りて操業を再開、翌12年10月には南三陸町に工場を再建した。そこで新たに作り始めたのがあのバッグだった。「どのように入手されたのかは分かりませんが、社員とともにありがたく受け止めました」
14年7月、両陛下が南三陸町を訪れた時も、皇后さまはこのバッグを持参した。「色合いが素晴らしい」「視察の時に持って行くのに便利なんです」と周囲に語ったという。
この訪問時、両陛下の車がアス…